高血圧

高血圧とは

血液は全身に栄養素や酸素を届ける役割を担っています。心臓が収縮と弛緩を繰り返し、ポンプのような役目をしながら血液を全身に届けています。その心臓から送り出された血液が血管内壁を押す力を、血圧と言います。1回の心臓の拍動で送り出される血液量や血管の弾力性、末梢血管の抵抗力、血液の粘度などによって血圧値が決定されます。
心臓が収縮した際には最大値、拡張した際は最小値となります。
血圧は緊張やストレス、疲労、運動、睡眠時間などの環境によって上下します。血圧が高い状態が長く続いている状態が高血圧です。高血圧の基準値は、院内と家庭内でも異なります。リラックスできる自宅で測定するよりも院内で測定する方が高く数値が出ます。高血圧は、適切な処置をせずに放置することで動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞、脳卒中など深刻な疾患を発症するリスクが高くなってしまいます。このため、高血圧と指摘された場合は、早めに医療機関を受診し血圧コントロールを行う必要があります。

高血圧の種類

高血圧には、本態性高血圧と2次性高血圧があります。本態性高血圧は遺伝的要因に加えて、ストレスや肥満、運動不足、塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙など環境的要因が合わさることで起こります。高血圧のほとんどのケースが、本態性高血圧とされます。一方、2次性高血圧は腎血管性高血圧や睡眠時無呼吸症候群、副腎ホルモン異常などが原因で起こります。この場合は、原因疾患の治療を行うことが先決です。

高血圧の症状

高血圧は、目立つ自覚症状がないため気付かずに進行するケースが多くあります。高血圧を放置すると、動脈硬化が進んでしまい脳卒中や新血管疾患など深刻な疾患を発症するリスクが高まります。高血圧は、なるべく初期段階のうちに治療を行うことが非常に大切です。

高血圧の原因

主な原因としては、遺伝的要因に加えて暴飲暴食や運動不足などの生活習慣の乱れ、加齢、ストレスなどが挙げられます。また、塩分の過剰摂取によって血中の塩分濃度が上がることが原因とされます。食べ過ぎや栄養バランスの乱れ、過度の飲酒、喫煙なども高血圧を引き起こす原因となります。その他、薬の副作用で高血圧になることもあります。

高血圧の検査

血圧は、1日のうちでも変動します。このため、正しく計測することが大切です。院内で1回測定しただけでは正確な診断はできません。ご自宅でも決まった時間、決まった環境で血圧を測定し、記録することをお勧めしております。また、高血圧と診断された場合は、合併症の早期発見のために血液検査などを行います。なお、2次性高血圧の疑いがある場合はその他の精密検査を行います。

高血圧の治療

まずは、食事や運動など生活習慣を改善します。それでも数値に改善がみられなかった場合は、降圧薬を用いた薬物治療を検討します。また、2次性高血圧の場合は、まず原因疾患の治療を行います。近年多い難治性高血圧は、複数の降圧薬を服用しても改善がみられませんが、これは2次性高血圧の可能性があるため、気になる方やお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。

生活習慣の改善

塩分制限

塩分を過剰に摂取すると、血中の塩分濃度が高くなります。血液の塩分濃度を薄めるために喉が乾いて水分を多く摂取し、体内水分を増やそうとします。これによって血液量が増加して血圧が高まります。高血圧の予防・治療のための塩分摂取目安量は、1日に6g未満と推奨されています(日本高血圧学会)。減塩は血圧コントロールにおいては非常に重要なポイントです。1日に摂る食材自体に含まれる塩分はすでに3gであるため、調味料で摂る塩分は3g未満に抑えなければなりません。このため、インスタント食品や加工食品、漬物、干物などは塩分が多く、軽く1日の摂取量を超えてしまいます。なるべく素材の味を生かした調理法で食事をすることが望ましいとされています。出汁や薬味、ハーブ、スパイス、レモンなど塩味ではない香りづけなどを利用しながら、食事を楽しむことをお勧めしています。

体重制限

高血圧を予防、または改善するには体重制限などで肥満を予防することが非常に有効です。標準体重を出すには、以下の計算式で目安を知ることが大切です。

標準体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22

肥満や運動不足は、高血圧を引き起こすリスクが高まります。食事コントロールや適度な運動習慣は高血圧予防には欠かせません。運動は、全身の血行を促進する効果があります。運動不足になると、血行が悪くなり血圧が上がりやすくなります。

運動

適度な運動を習慣的に行うことで、血流が促され血行改善が図られます。さらに、筋力や骨の強度が上がり、体重コントロールができます。ストレス解消にも効果があるほか、呼吸機能を改善する効果もあります。適度に汗をかく運動は非常に良く、こまめに行うことで高血圧を改善できます。運動メニューや程度、回数などは医師と相談の上、始めることをお勧めしております。特に、心疾患や膝、腰の疾患、高血圧の度合いによっては、医師の指示に従い行うことが重要です。

飲酒

過度の飲酒習慣は高血圧を引き起こします。1日における適正アルコール摂取量は、25gです。ビールだと500ml、日本酒なら180mlまでとなります。前日に飲酒していないからといって、量を増やすなどはせず1日の適正量を守ることが大切です。

禁煙

喫煙習慣がある場合、たばこの成分が末梢血管を収縮させ、高血圧を引き起こしてしまいます。さらに、動脈硬化が進むリスクが高いとされています。このため、高血圧治療を進める際は、禁煙が必要となります。喫煙は、高血圧だけではなく、呼吸器疾患や歯周病など全身の健康に支障が及びます。喫煙習慣のある方は、禁煙を始められることをお勧めしております。