小児ワクチン

予防接種を受ける際に必要なもの
※インフルエンザワクチン(注射)以外は事前にお電話にてご予約を
お願いします

  • 母子健康手帳
  • 予防接種予診票兼接種票(定期接種のみ)
  • 健康保険証
  • 自治体発行の医療証

※事前にご自宅で予診票を記入していただけると、待ち時間が少なくご案内できます。

予防接種を受けられないケース

  • 37.5℃以上の発熱がある
  • 予防接種予診票兼接種票を持参していない(定期接種のみ)
  • 医師により接種不適応と判断された

予防接種について

お子様がかかりやすい感染症の多くは、ワクチン接種によって予防できることが分かっています。感染症に罹患すると、一部の患者さんは重篤な後遺症を抱えたり、命を落とす場合もありますので、予防接種をしっかり行いましょう。
特に乳幼児は、多くのワクチンが接種対象となっています。予防接種のスケジュールをしっかりと立て、推奨期間内に全てのワクチン接種を受けるようにしましょう。当院では随時、スケジュールに関する相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

ワクチンについて

ワクチンは、感染症の原因となる細菌やウイルスを精製・加工して、その病原性(毒性)を弱めたり無力化したりして、身体にとって安全な状態にしたものです。感染症に罹患する前に、ワクチンを接種することで、その感染症に対する免疫を身体に作る仕組みです。

生ワクチンと不活化ワクチン

注射生ワクチン

麻しん・風しん、水痘、おたふく、BCG

経口生ワクチン

ロタウイルスワクチン

生ワクチンは、生きているウイルスや細菌の毒性を弱めたものを接種し、免疫を獲得することを目指すものです。注射生ワクチンと経口生ワクチンの2種類があります。不活化ワクチンと比較して、少ない回数の接種でも十分な免疫が得られることがありますが、副反応として、元の感染症の軽い症状が出ることがあります。

不活化ワクチン

ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、4種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ)、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)、季節性インフルエンザ

不活化ワクチンは、ウイルスや細菌を無毒化し、増殖機能をなくしたワクチンです。免疫を得るために必要な成分のみが含まれています。免疫を確実に獲得するには、1回の接種では不十分であり、複数回の接種が必要です。

定期予防接種について

定期接種は、地方自治体が予防接種法に基づいて実施しています。国が定める推奨期間内に接種する場合、接種費用は公費で負担されます。しかし、推奨期間を過ぎてしまうと、接種費用は全額自己負担となります。そのため、余裕を持ったスケジュールを立てるためにも、お早めにご相談ください。

任意接種について

接種費用は定期接種と異なり、全額自己負担となります。ただ、費用はかかりますが、接種により合併症のリスクを大幅に低減することが確認されていますので、接種年齢になったら積極的な接種をおすすめします。また、一部の自治体では接種費用を一部負担してくれることもあります。

同時接種について

同じ日に2種類以上の予防接種を行うことを同時接種と言います。この方法は、日本小児科学会の推奨を受けており、複数の感染症に対する免疫を効率的に早期に獲得できます。
同時接種は、単独接種と比較しても、副反応や効果に変わりはないとされていますので、安心して接種を受けられます。

キャッチアップ接種について

様々な理由で接種推奨期間内に定期接種を受けられなかった場合、キャッチアップ接種を受けることができます。規定回数の接種が途中で中断されている場合には、できるだけ早く続きの接種を再開しましょう。
免疫の獲得には問題ありませんが、この場合は接種費用は自己負担となります。

予防接種の費用

定期接種

無料です。自治体から配布される予診票・接種票を必ずお持ちください。

任意接種

種類 料金
インフルエンザワクチン(小児) ¥3,300
肺炎球菌(小児・プレベナー13/PCV13) ¥13,200
肺炎球菌(小児・バクニュバンス15) ¥13,200
B型肝炎(小児) ¥6,600
麻疹・風疹2種(小児・MR) ¥11,000
風疹 ¥8,250
水痘(水ぼうそう) ¥7,700
ムンプス(おたふく) ¥6,600
ジフテリア・破傷風2種(DT) ¥6,600
ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ4種(DPT-IPV) ¥9,900
HPV 4価(ガーダシル4) ¥17,600
HPV 9価(シルガード9) ¥30,800
ツベルクリン ¥4,950
日本脳炎 ¥7,700
ヒブ ¥8,250
不活化ポリオ ¥11,000
ロタウィルス(ロタテック) ¥9,900
BCG 対応準備中

予防接種の種類

ヒブ(インフルエンザ菌B)

中耳炎や肺炎の原因となる細菌のワクチンで、特に細菌性髄膜炎の予防に重要です。この病気にかかるお子様の多くは生後0歳児であり、病気が重篤でありながらも、早期診断が難しく、かつ抗菌薬が効かない耐性のある細菌も存在します。そのため、生後2ヶ月から肺炎球菌ワクチンと同時に接種することが推奨されています。
ヒブワクチンは2011年から公費助成が始まり、その後細菌性髄膜炎の発生率が減少し、ヒブによる髄膜炎が発生しない年もみられるようになりました。これはワクチンの予防効果が現れている証拠です。

肺炎球菌

副鼻腔炎や中耳炎、肺炎などの原因となる菌の一つで、ヒブと同様に非常に重要なワクチンです。
2011年以降、公費助成が開始された肺炎球菌ワクチンの導入により、肺炎球菌による髄膜炎の発生率が71%減少しました。このワクチンは、ヒブワクチンと同時に接種を開始することが推奨されています。
従来、小児の肺炎球菌ワクチンは「プレベナー®」のみでしたが、新たに適応になった「バクニュバンス®」は、13種類の肺炎球菌に加えて、さらに22Fと33Fという血清型をカバーする15価ワクチンです。このバクニュバンス®は、プレベナー®に加えて2つの血清型を追加し、さらにプレベナー®と共通する血清型3に対しても優位性が示されています。
既にプレベナー®で接種を開始している方が、途中からバクニュバンス®へ切り替えることの有効性と安全性も示されています。

ロタウイルス

ロタウイルスは、下痢や嘔吐を引き起こす胃腸炎の主な原因ウイルスです。胃腸炎の原因としては他にもさまざまなウイルスがありますが、中でもロタウイルスは最も重症化しやすい傾向があります。激しい下痢と嘔吐により水分摂取が困難になり、脱水症状を引き起こすことがあります。5歳までにはほぼ全てのお子様が一度は感染すると言われ、その感染力の強さから、保育園などで簡単に流行します。現在、このウイルスに対する根本的な治療法は存在しないため、ワクチンによる予防が重要です。ロタウイルスのワクチンは経口生ワクチンです。

B型肝炎

日本国内では毎年約100万人の新規のB型肝炎ウイルス感染者が報告されており、これは比較的一般的な病気とされています。特に乳幼児期に感染が多くみられ、肝炎が慢性化すると将来的に肝臓がんや肝硬変などの合併症のリスクが高まりますので、注意が必要です。
生後2か月を過ぎた段階で、ロタウイルス、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンなどと一緒に接種することをお勧めします。

4種混合

ポリオ、ジフテリア、破傷風、百日咳の4つの感染症を予防・重症化防止のためのワクチンです。これらの感染症は発症すると重篤な状態になるリスクが高く、後遺症が残ることもあります。
特に、百日咳は乳児が罹患すると重症化するリスクが高いため、生後2カ月を過ぎた段階でできるだけ早く接種することが重要です。

五種混合ワクチン

2024年4月から、従来のHibワクチンと四種混合ワクチンに代わり、「五種混合(DPT-IPV-Hib)ワクチン」の接種が始まりました。このワクチンは、ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)、ヒブ(Hib)の予防接種を含んでいます。非常に重要なワクチンであり、生後2か月になったら速やかに接種を受けるようにしましょう。

BCG

結核の発症を予防するためのワクチンです。現在でも年間約2万人の新規発症があり、その内約2000人が亡くなるとされる感染症です。乳幼児では、結核症、粟粒結核、結核性髄膜炎などの重篤な合併症のリスクが高いため、生後11か月を迎えるまでにワクチン接種を受けるようにしてください。

麻しん風しん

麻しん、別名はしかとも呼ばれている、非常に強い感染力を持つ感染症です。一方、風しんは成人してから感染すると、重症化のリスクが高いとされています。
特に、妊娠中に風しんに感染すると、胎児が先天性風しん症候群となり、生後に耳、目、心臓などに障害が発生するリスクが高まります。そのため、お子様が1歳を過ぎた段階で、なるべく早く1回目の接種を受けるようにしてください。

水疱(水ぼうそう)

水痘帯状疱疹ウイルスに感染することが原因で、重症化すると脳炎や肺炎、そして帯状疱疹につながる可能性もあります。お子様が1歳になった時点で、なるべく早く接種を受けることをおすすめします。
1回の接種だけでは効果が不十分なため、2回の接種を推奨しています。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎/ムンプス)

おたふくかぜとして知られる感染症で、耳の後ろにある耳下腺が腫れる疾患です。脳炎や精巣炎、無菌性髄膜炎、難聴などの重篤な合併症を引き起こすリスクもありますので、注意が必要です。
特に、おたふくかぜによって難聴となった場合は治療が困難となるため、お子様が1歳を迎えた時点で速やかに接種を受けるようにしてください。

子宮頚がん

ヒトパピローマウイルス(HPV)は多くの遺伝子型を持つウイルスで、主に性交渉によって感染します。子宮頸がんの主な原因である16型と18型のHPVは、若年者によくみられ、女性の80%が無自覚のうちに感染し、治癒します。しかし、一部の人は持続感染し、がんに進展する可能性があります。頸がんは年間で約1万〜1万5000人の新規発症があり、そのうち約3000人が亡くなっています。HPVワクチンの普及により、HPV感染や前がん病変の発生率が大幅に低下しているというデータもあります。
性交渉を経験する前に接種を開始することが望ましく、標準的には中学3年生までに3回の接種を受けることを推奨しています。しかし、日本では一時期、積極的な勧奨接種が中止されたため、その間に接種を受けられなかった1997年4月2日〜2008年4月1日生まれの女子に対するキャッチアップ接種が行われています。
2025年3月末まで、定期接種として無料で接種が可能ですので、接種を受けられなかった方は住民票のある市区町村にお問い合わせください。

保護者の同伴について

中学生までのお子さんは、原則として保護者の方が同伴して接種にお越しください。
保護者の方が同伴できない場合は、お子様の健康状態を日頃からきちんと把握しており、予診票や予防接種に対する理解が十分な親族の方であれば、同伴が可能です。ただし、祖父母や他の親族の方が同伴する場合は、予診票と一緒に予防接種委任状の提出も必要です。
予防接種委任状がない場合は接種ができませんので、ご了承ください。