2型糖尿病とは
日本人の糖尿病罹患者のうち、ほとんどが2型糖尿病です。糖尿病はサイレントキラーと呼ばれるように自覚症状に乏しく、疲れやすさや体重減少、頻尿など何らかの自覚症状が出た時には病気が進行していることも少なくありません。以下のような方が糖尿病を発症しやすいと言われています。
- 親族に糖尿病罹患者がいる
- ご飯やパン、麺類、芋類など糖質の摂取が多い
- 高脂肪食品が好きでよく摂取する
- 炭酸ジュースや清涼飲料水など甘い飲み物をよく飲む
- 運動不足
- 肥満
- 自炊より外食することが多い
- ストレスがかかった生活をしている
- 飲酒の習慣がある、よく飲む
など
罹患者のほとんどが肥満を伴っていますが、痩せてる方でも罹患することがあります。
2型糖尿病の原因
2型糖尿病の原因は、食事や運動などの生活習慣の乱れ、それによる肥満、過度のストレス、遺伝的要因などによって、血糖を低下させるホルモンであるインスリンの効果が乏しくなる(インスリン抵抗性が増大)ことです。
「生活習慣の乱れ」の具体例
以下の内容に該当しないか、確認してみてください。
- 食べ過ぎ(カロリーオーバー)
- 運動不足
- 睡眠不足
- 肥満体型
- 飲酒習慣(飲みすぎ)
- ご飯やパン、芋類、麺類の食べ過ぎ
- 甘い飲み物をよく飲む
- 生活リズムが乱れている
など
2型糖尿病で
気を付けなければならない合併症
慢性合併症 | |
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細小血管症 |
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大血管症 |
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その他 |
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糖尿病が重度に進行すると糖尿病三大合併症とされる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などを発症してしまう可能性があります。糖尿病は万病の元と言われるように、重度の糖尿病になると生活の質(QOL)が大きく低下してしまいます。さらに、脳梗塞や心筋梗塞など脳血管疾患や心疾患を併発するリスクも高くなってしまいます。
2型糖尿病の治療
糖尿病の治療において、まずはこれまでの生活習慣をしっかりと見直して、病気の進行を防ぎ合併症を引き起こさないように、糖尿病という病気をしっかりと理解することが重要です。当院では、患者さんが糖尿病治療において能動的に取り組めるように、治療目標やモチベーションを維持しながら治療効果を得られるようにサポートしております。
患者さん一人ひとりに合わせた食事療法と運動療法
2型糖尿病の治療における基本は、まず食事療法と運動療法を行います。食事制限や運動習慣などは苦手とする方も多いと思います。当院では、患者さん一人ひとりに合わせた食事療法と運動療法を提案しております。お身体の状態や生活習慣、性格や好き嫌いなどをお伺いしながら、長く継続できるようにアドバイスしております。
食事療法
- 血糖が上がりにくい身体作りのために、筋量を増やす、体脂肪を減らすなど、体組成計で筋量・脂肪量を計測しながら行います。
- 糖質過剰摂取を抑え、血糖が上がりにくい適量をアドバイスします。
- 野菜→タンパク質→炭水化物の順番で食べる。
- 間食を制限して控える。
- 食べ過ぎ時の対処法をアドバイスします。
運動療法
患者さんの運動経験の有無、好き嫌い、既往症、普段のライフスタイルなどを考慮しながら、続けやすい・始めやすい運動療法をご提案しております。食後に適度の運動を行うことで、食後の血糖値上昇を緩和します。
インスリンについて
インスリンは血糖値を下げる働きがあります。身体に必要不可欠なエネルギー源であるブドウ糖は、体内に入るとインスリンの機能によって血中の細胞内に運ばれます。インスリンの働きによって血糖値が下がります。
インスリンの働きと注射の種類
インスリンには、食事をとるごとに分泌される分のインスリン(追加分泌)、絶えず分泌され続けている分のインスリン(基礎分泌)があります。糖尿病の患者さんでは、それぞれ不足している分に対して、インスリン注射を行うことがあります。
1型糖尿病の場合、膵臓機能の障害が原因のためインスリン分泌が低下します。1型糖尿病の患者さんはインスリン注射が必ず必要です。また、2型糖尿病の場合もインスリン分泌が著しく低下したり、薬では血糖値上昇を抑えられない場合にインスリン治療を行います。
インスリン製剤の種類
インスリン製剤には、以下の5種類があります。
超速攻型 | 作用の発現が早く、効果も速やかに消失する。 |
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速攻型 | すぐに効いて効果も速やかに消失する。超速攻型より血中濃度がなだらかに上がる。 |
持効型 | 効果が1日中平坦に持続する。 |
中間型 | 6時間経過後にピークとなり、12時間程なだらかに持続する。 |
混合型 | 複数のインスリンが配合されている。 |
糖尿病治療の流れ
1問診票を記入
現在の身体の状態や症状について問診票にご記入いただきます。これまでの既往歴、治療歴、ご来院の経緯などお伺いします。
2必要な検査を実施
血糖値・尿糖・HbA1c・脂質異常・肝機能・腎機能・身体検査など、糖尿病の初回検査に必要とされる検査を行います。
3医師による診察
検査結果を元に、医師による診察を行います。運動・食事療法に加え、病態に応じて薬物療法をご提案します。高血圧、脂質異常症など合併しやすい生活習慣病に関しても合わせて評価・治療を行います。
4定期的な通院
血糖値コントロールを確認するために、定期的に通院していただきます。血液検査や尿検査などを行います。生活習慣改善の経過と、内服薬の最適化、インスリン治療の方にはインスリン量の調整などを定期的に行います。
Q&A
家族がいま糖尿病の治療をしています。糖尿病は遺伝しますか?
ご親族に糖尿病がいる方は、糖尿病を発症する可能性があります。特に、2型糖尿病は遺伝的要因があるため、今後生活習慣には十分気を付けて発症を防ぐことが必要です。
糖尿病予備軍と診断され、その後服薬なしの経過観察で数か月が経ちました。
最近受けた健康診断で糖尿病疑いとの指摘がありましたが、受診した方が良いですか?
早めに受診してください。初診時に服薬が必要なく経過観察しましょうと判断された場合も、その後の経過次第では治療が必要になることがあります。定期的に検査を行い評価する必要があります。都度、治療方法を見直すことが大切です。
2型糖尿病と診断され、糖質制限を続けていました。糖質制限を辞めて糖質を取り出したら血糖値が高くなってしまいました。今後普通食に戻すことはできるのでしょうか?
糖尿病の食事療法では、過度な糖質制限は行いません。各栄養素のバランスを意識しながら適切にカロリーコントロールを行うことが重要です。まずは、ご自身の適量を確認し、食後に運動を取り入れるなど血糖コントロールを続けることが大切です。
インスリン治療を始めたら、一生止められないと聞きましたが本当ですか?
糖尿病の病態によります。一時的に異常な高血糖状態となっている場合には、インスリン治療によって糖毒性を改善できればインスリンを少しずつ減量・中止できる可能性もあります。ただし、インスリン分泌が低下・枯渇している場合や、内服治療で十分なコントロールが得られない場合には、インスリン治療を継続していく必要があります。